政治家の発言比較 憲法改正

 
 

憲法改正に関する発言

2013年5月12日

 先週は憲法記念日もあり、新聞もネット上も憲法改正論議が花盛りでなかなか面白い状況でした。
 福井でも福井新聞が特集記事を組んだり、いろいろな催し物が行われたりしており、政治家の方々もネット上で憲法について言及される方もおり、なかなか面白く見ていました。 福井の政治家の方々のここ最近の憲法に関するネット上での発言を一部「引用」しておきます(発言の日付順)

※ SNSでの発言はコミュニティー向けと見なして掲載していません。

鈴木宏治氏 日本維新の会: 4月20日付動画
「4条から8条の統治機構に関わる部分を変えたい。」
「9条については、変えるべきとまでとは思わないが、戦力の不保持をうたいながら自衛隊が存在する状態に対して、軍隊を銘記すべきという考え方があることは理解できる。」
※ 要約です。

牧田孝男あわら市議: 4月22日付けブログ記事
「DVD「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」を観ているうち、不覚にも涙がとまらなくなってしまった。」
「観終わったあとの感想は、「憲法9条絶対死守」。 」

佐藤正雄福井県議 共産党: 5月2日付ブログ記事
「改憲発議の要件を引き下げれば、時の権力者はいつでも都合のいい改憲発議を提起できることになります。
権力者を国民がしばる立憲主義の憲法を、権力者が国民をしばる憲法に変質させてはなりません。」
※ アオッサでの憲法に関する掲示物撤去事件についていも詳述しています。

笹岡一誠福井県議 自民党: 5月3日付けブログ記事
「組織もルールも作られた翌日から古くなり、常に時代に適応した見直しが必要となると言うのが私の持論ですが、憲法であっても一種のルールである以上、66年間無改正というのにはいささか無理があります。」
「国民的議論をさらに深め、より良く時代にフィットした憲法にするために正面から向き合うことが必要です。」

鈴木正樹福井市議 共産党: 5月5日付ブログ記事
「人類の長い歴史を降り逢えれば、権力者の暴走が、その国の悲惨な歴史を何度と繰り返してきました。しかし、その繰り返しの中で「憲法というルールで、国民が権力者の暴走を食い止める」という仕組みにたどりついたのです。これを立憲主義と言うそうです。」
「安倍首相や維新の会は「96条改正」を声高に言います。それは権力者や政治家の暴走ではないのか?」

大久保恵子越前市議: 5月6日付「コスモス日記」
「安倍政権は、96条を改正し、憲法改正のハードルを下げ、憲法9条を変え戦争のできる国にしようとしている。憲法改正の理屈をいろいろ並べているが、結局は国防軍を持ち集団的自衛権を認め、戦争のできる国を目ざしているにすぎないと思います。環境権やプライバシー権などは憲法を改正しなくてもここの法律の中で解決できるものです。」
「9条は日本の宝です。そして単に日本だけのことにとどまらず、この精神を世界に発信したいと思います。」

西本恵一福井市議 公明党: 5月8日付ブログ記事
「「憲法9条を絶対に変えないでほしい。」今日、公明党サポーター宅をご訪問させていただいた時の一言です。」
「公明党は憲法改正について、現憲法は優れた憲法であり、平和・人権・民主の憲法3原則を堅持しつつ、環境権など時代の進展に伴い提起されている新たな理念を加えて補強する「加憲」が最も現実的で妥当なものであると考えます。」

兼井 大大野市議 5月13日付ブログ記事
「憲法について考える講演会・パネルディスカッションに友人と参加。」
 「時間の関係で上記3点(9条・96条・非常時代宣言)だけでしたが、もっと他の条文についても聞きたくなりました。 そしてテレビ・新聞の報道に流されるだけでなく、様々な視点で深く考えていく事の大切さを痛感しました。

 やはり改正反対派の方が積極的に配信している様子がうかがえ、共産党や公明党などは市議レベルでも意見を表明しており、組織力の強さが感じられます。
対照的に、圧倒的多数のはず自民党の方で言及が見られたのは一人のみで、次期参院選の争点にすると言われている割には、福井での世論を喚起しようという動きはほとんどないような気がします。
ちなみに、民主党の方々のネットでの配信は全くなされておらず、党本部でも意見が分かれているため、地方では軽率な発言ができない状況であろうことが推察されます。

 個人的には、各国の憲法改正要件を示したうえでご自分の見解を述べている鈴木正樹氏と、憲法を条文ごとに説明してご自分の見解を述べている鈴木宏治氏のお二人が、配信スタイルとしては評価できるように思います。

問題提起

 憲法改正には様々な議論がありますが、結局のところ国民の意思の表れである「国民投票」を信頼するかしないか、ということのような気がします。

 象徴的なのが5月3日付の福井新聞の森達也氏の言葉です。
「肝心の憲法を分かっている人はどれだけいるのだろう。法律と憲法の違いを理解できる人は、おそらく半数もいない。よく分からないのに賛成、反対の結論を求める二項対立の風潮は問題だ。」

 要するに「国民は無知だから憲法の判断などできない」と言っているように見受けます。
 民主主義とは、国の決定に対する責任は国民自身が負うという考え方で、国民の判断が正しいか間違っているかという観点を入れるべきではないような気がします。
 国民は愚かな判断をするかもしれませんが、その責任は国民自身が負うということであり、国民は無知だからという考え方は、かえって国民を無知へと追いやるような気がします。

 ここは同じ5月3日付の福井新聞の、竹崎博充最高裁判所長官の言葉がしっくりくるように思います。
「改正すべきかどうかは国民的な議論に委ねられる問題だ。憲法は国の形をどうするかを定めたものであり、国民すべてが国の将来のあるべき姿について真剣に検討し、結論を出すべき事柄だ。」

 個人的には国民が自らの責任で結論を出せるような環境を整える事こそ重要な気がします。
 福井の政治家の方々で法学部出身の方がけっこうおられるので、その方々の見解や持論を聞いてみたいところです。

 
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