吉田琴一新議長選出の背景

 
 

吉田新議長選出の背景

2013年9月5日

 9月4日の福井新聞に、福井市議会の議長の改選の記事が載りました。 これまでは6月議会での1年交代が慣例となっていたようですが、今年は見送られており、その背景について解説していました。

 新議長に選出されたのは、5期目となる吉田琴一氏です。

 この方、現在は政友会という保守系会派に所属していますが、4月までは民主・社民系会派の市民クラブに所属していた人物です。 記事によると、6月の定例議会でも吉田氏を擁立する動きがあったようですが、参院選を7月に控えて自民党以外の議長選出は避けるべきだという判断が働いたということです。

 と言われても、一般市民には何のことかよく分からないので、推測で申し訳ないのですが、一庶民に映る事柄を書いてみたいと思います。

まず、福井市議会の会派を整理しておくと次のような感じです。一応、グループごとに色分けしてみました。
 志政会   (10人)  自民系
 一真会   (8人)   自民系
 市民クラブ (5人)   民主・社民系
 政友会   (3人)   保守系?
 公明党   (3人)
 共産党   (2人)

 ※ 各会派の構成はこちら → 福井市議会

 見ての通り、自民党が、志政会一真会の二つの会派に分かれて議長職を巡って争っており、13人VS16人で一真会側が主導権を握っているという構図です。

 保守系同士の対立の表面化は、2010年の民主党の栗田政次氏の議長選出に始まるようですが、水面下ではもっと以前から積み重ねられてきたもののようです。

 「取材ノート」というコラム記事では、「市民とっては極めて分かりにくい構図」とし、ポスト争いに終始する市議会の様子を批判的に扱っており、次のような議員たちのコメントを掲載していました。

 「発端はもっと以前にさかのぼる。誰も外向けに説明なんてできない。」
 「市民は知らなくてもいい話だから、明らかにする必要はない。」

 記事では、「4月施行の議会基本条例で高らかにうたった「開かれた議会」の理念は、いったいどこに行ったのか。」と手厳しいですが、まったくその通りです。  特に「市民は知らなくてもいい話」などとふざけたことを口にする議員は、次の選挙で落とすべきだと思うので、名前を公表してもらいたいぐらいです。

 個人的には、たかが地方議会のポスト争いなど早く卒業してほしいのですが、少なくとも異例の処置がとられたことに対しては、一定の説明責任があると思います。  その責任を果たさない以上、根拠のない憶測をされても文句は言えないような気がするので、ここから先はほとんど憶測で書いていきますが、ご了承くださいませ。

 

  一庶民が考える、吉田琴一氏選出の背景

 

 まずは事実関係から押さえておきます。

 もともと、前議長の見谷喜代三氏は一真会に、新議長の吉田琴一氏は市民クラブに所属しており、同じグループを形成していたのですが、今年の4月に突如、吉田琴一氏と皆川信正氏が市民クラブから離脱し、一人会派だった政友会に移籍します。

 そして妙なことに、慣例では6月議会に行われる議長の再選が見送られ、見谷喜代三氏の続投が決まるのですが、9月議会では吉田琴一新議長が選出されています。

 一庶民からは、非常に不可解な動きではあるのですが、昨今の国政選挙と絡めて考えると分かりやすいと思います。

 もともと、昨年の見谷喜代三氏の選出にあたって、一真会と市民クラブの間で、次の議長は吉田琴一氏に、という密約が交わされていたものと推察されます。

 その時点で、吉田琴一氏は民主党系の市民クラブに所属していたのですが、昨年12月の衆院選で民主党が大敗し、安倍政権が誕生します。

 そうなると、一真会としては市民クラブからの議長の選出は難しくなるという事情が発生し、今年の4月に吉田琴一氏と皆川信正氏が市民クラブを離脱して、1人会派だった政友会に合流するという動きにつながったと考えられます。

 それでも、6月議会での吉田琴一氏の推薦は、7月に参院選を控えた一真会としてはまずかろうという判断がなされ、異例ではありますが、9月議会に先送りという形で手を打った、ということになろうかと思います。

 全くの推測にすぎず、飲み屋でする話の域を出ないのですが、関係する市議会議員側からちゃんとした説明がない以上、何を書かれてもしょうがないかという気はします。

 さて、こうなると気になるのは、吉田琴一氏と共に市民クラブを離脱した皆川信正氏だったりします。

 なぜ皆川信正氏が、吉田琴一氏と行動を共にしているのかは、非常に想像力をかきたてる部分なのですが、特にご本人から説明している様子はないので、申し訳ないのですがここも完全に憶測で書いてみたいと思います。

 これは、次の議長ポストを意識していると考えると納得がいくと思います。

 当選回数4回以上の方で議長職に就いていないのは、皆川信正氏(4期目)と共産党の西村公子氏(7期目)だけなのですが、西村氏の場合、これまで福井市議会では女性が議長になったことはなく、しかも共産党の方とあっては難しかろうと思います。

 そうなってくると、皆川氏としては3期目の方に議長職を譲るわけにはいかないといったところでしょう。

 おそらくすでに、見谷喜代三氏 → 吉田琴一氏 → 皆川信正氏、という流れができていて、それに沿った動きと考えると分かりやすいような気がします。

 もちろん憶測にすぎないのですが、来年の6月を楽しみにしたいと思います。

 

  問題提起とクレームへの対応

 

 個人的には、議員が市民に事情を説明できなような福井市議会の在り方は不健全であり、福井市民としては恥ずべき状態であると考えています。

 それで、ほとんど憶測にすぎないのですが、あえて問題提起として、掲載することにしました。

 ちょうど次の地方選挙ではネット選挙が解禁されており、ご自分の選挙に差し障りがあると思われる方は、メールフォームからご連絡いただければ対処したいと思います。

 ただ、最大の問題は、議長選出の先送りに関しては市議会が、会派移動の経緯については市議会議員が、しっかりと説明していないことだと考えています。

 それで、記事の訂正・削除を求められる方は、有権者に対するそれなりの納得のいく説明をしていただければ、喜んで応じるということにしたいと思います。

 あまり期待はしていませんが・・・。

 
 
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